※ ここでは、どんな方にもご理解頂ける様に、出来るだけ「専門的な表現」の使用を控え、を簡単にご説明いたします。 |
まずは、「レジオネラ属菌」の増殖原因と「クーリングタワー(冷却塔)」の条件を組み合わせた「リスク」をご説明します。 |
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ています。 さて、同じ土壌(土の中)で生息する代表的な微生物と言えば「真菌」。いわゆる「カビ」です。日本の場合、空間中を浮遊するカビの量が最も多くなる時期は「梅雨時」や「秋雨時」。ここまでは「レジオネラ属菌」も同じです。 やはり、微生物が空間中を浮遊するのに「温度」「湿度」が大きく関係してくるのは間違いないでしょう。カビは「真冬」にはもちろん減少します。しかし「真夏も減少」するのです。 それでは、どうしてレジオネラ感染症が最も多くなるのは「真夏である8月」なのでしょうか?実は原因の一つとして、私たちは、衛生管理の悪い冷却塔・クーリングタワー (オフィスビルの空調)が動き出す、またはフル稼働で動いていて、居住空間に撒き散らかされる「季節」だからだと考えています。 |
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この時、冷却水中にレジオネラ属菌が大量発生していた場合、エアロゾルと一緒に「大量放出」されます。そして、人間が呼吸をする事により人体の肺に入ると「感染」するとされています。 1976年にアメリカ合衆国ペンシルベニア州で米国在郷軍人会の大会が開かれた際、参加者と周辺住民21人が原因不明の肺炎にかかり、一般の抗生剤治療を施したにも関わらず34人が死亡した。 これにちなんで、「在郷軍人病」とも呼ばれています。 |
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当然、「250RT」「500RT」なんて大きさは当たり前の様に至る所にあり、それが数台、数十台と言うレベルで屋上に設備されていて大量の飛散水が街に降り注ぎます。 | |||
何かしらの原因で、冷却塔に「風」が上手く入らず、冷却水が適正温度まで落ち切らなければ、冷却塔のファンはターゲットの温度に到達する為に、一生懸命に「フル稼働」します。ファンがフル稼働する時間が長くなればなるほど、飛散水も増加します。 | |||
仮にこの冷却水中に「レジオネラ属菌」が大量に繁殖していた場合、どうでしょうか? 長時間に渡り、大量のレジオネラ菌が空調用給気・外気ダクト・窓からビル屋内・室内へ混入・そしてレジオネラ症に感染。また施設周辺で生活する人々にまで感染リスクが出て来るでしょう。 | |||
それでは、どうすればこの冷却塔内の「レジオネラ属菌」をなくせるのでしょうか? 「主たる原因」から探っていきましょう。 |
まずは「レジオネラ属菌」だけに限らず、「微生物」の増殖・大量発生を語る上で外せないのが、冷却塔・配管系・熱交換器内に生成される 「バイオフィルム(生物膜)」です。 |
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基本的に「冷却塔」に注がれる水の種類としては、「水道水」「工業用水」、また 「井水(地下水)」等、エリア、業種、用途によって様々でしょう。まず、これらの水は、ある程度メイクアップ(処理)したとしても「全くの無菌」ではありません。 そして冷却塔はその水を冷やすために、空間中から風だけではなく「藻類(胞子)」や「微生物そのもの」も一緒に吸込んでしまいます。 (※微生物には「低〜高温菌」と多種類あり、冷却塔も数多くのスペック(仕様)がありますが、ここでは最も一般的なケースでお話しいたします) |
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夏場、冷却水の温度は「37℃」で入って冷却塔内に入り、塔内で「-5℃」冷やされ、「32℃」で再び冷凍機へ冷却に向かいます。 実は、この温度域、「微生物が増殖する最適な温度」と一致します。(36℃前後) そこで、冷却水には病原菌等の微生物を殺菌する為に、塩素剤等の「殺菌剤」を添加する訳ですが、この殺菌剤の設定濃度が不足、殺菌剤の有効成分の不足、また、何らかの問題で殺菌剤が出ていなかった、効力が低下していた等の場合、「バイオフィルム(生物膜)」が生成されます。 |
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鉱物系障害(スケール障害)もそうですが、生物系障害(バクテリア・藻類障害)はさらに生成スピードが早いです。水質や環境にもよりますが、実に「数日間の間」にバイオフィルムは出来上がってしまいます。 いかに「煙の段階で消すか」が鍵になります。 |
前述、「殺菌剤の有効成分の不足」等と記述しましたが、これは一体どういう事なのか? 簡単にご説明いたします。 |
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裏を返せば「濃縮率が高すぎる(アルカリ)」「リン・窒素濃度が高い」水質は、「バクテリア・藻類」の障害が発生しやすいと言う事です。 | |
殺菌剤として、次亜塩素酸ナトリウムを添加すると、「アンモニア」などの窒素化合物と結合し、クロラミンと言う成分になり、その殺菌効力が急激に低下します。次に、辛くも生き残った(クロラミンにならなかった)「遊離塩素」は冷却塔で濃縮された水が示すアルカリ性のpHで、その効力を十分に発揮しません。 それを補う為には、ジャブジャブと大量に添加しなければ、 「殺菌効力」を確保出来なくなります。こうなると、次は「設備の腐食」が心配になって来ます。薬剤注入装置から添加される、1種類で「スケール防止」「金属腐食防止」「殺菌剤」の役割をこなすとする「オール・イン・ワン・タイプ」の「複合処理剤」と言われる「有機化学水処理剤」がありますが、結局、これだけではあまり殺菌効果が上がらず(殺菌効力を維持できない)、別途、殺菌剤をバックアップ剤として入れざるを得ないのが現実です。 |
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やはり、『ラボ(研究所)でのテスト結果』と『本番環境』ではかなり違います。 |
藻類に関して言えば、いくら有機物を除去しても、水中の「リン・窒素」の濃度が高い限り「水、及び空気中」の二酸化炭素、太陽光から次々に有機物が生成され、要するに「いたちごっこ」になります。 下記の数値は、学術的に発表されている「主な水生植物に対する栄養塩の要求量/供給量比」です。 |
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水棲植物が育つには、「窒素:0.7%」・「リン:0.08%」の量が必要となる。
これに対して、単純な「水」であれば 「窒素:0.000023%」・「リン:0.000001%」の量しか与えられない。 つまり、単純な水であれば、水棲植物が育つには、「栄養が足りない」と言う事です。しかし、そこに自らの手で「有機リン・窒素化合物」が入った水処理剤を添加してしまうと、一気に「栄養過多」になり藻類は大量繁殖し、同時に有機物も大量生産されます。 :「藻類障害」「レジオネラ増殖リスク」をなくすには、栄養となる水中の「リン・窒素濃度を落とす」事です。 |
微生物は増殖する条件として、細胞成分に「アミノ酸」や「たん白質」を生成しなければなりません。それには、「窒素」「硫黄」が必要となり、「核酸」を生成するには 「リン」を必要とします。ここでもまた「リン・窒素」が出てくるわけです。 |
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※「各態窒素」の存在は「有機リン」と同じく富栄養化(生態系破壊)の原因となります。 |
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冷却塔内も有効殺菌成分がなくなると「富栄養化」します。これらは有機リン・窒素化合物を基剤とした「複合処理剤」を使用。 | |||||||||||
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金属腐食防止の目的で添加されていたはずの「有機リン・窒素化合物」系複合水処理剤が、冷却塔内で皮肉にも「富栄養化」を引き起こし もはや 「バクテリア・藻類の温床」になっています。 こうなってしまうと、殺菌剤の効果も大きく低減し、さらに成長が加速され、レジオネラ菌を周辺にまき散らすだけの 「噴霧機」と化します。また、「リン」は排水管、下水道を閉塞させ、配管を詰まらせる主原因です。リンを高濃度で排水しますと「下水道法違反」「水質汚濁防止法違反」はもとより、固形物になり、下水道管に大きな負荷を掛けます。 |
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まず、手が届く範囲の不要物は、物理的に除去して下さい。(人間による塔内清掃・高圧ジェット洗浄等)。配管系内は化学的洗浄を用いるしかありませんが、少しずつ殺菌剤で行っていく方法が良いでしょう。その際、これ以上の「栄養」を与えない事。 水を絶対に高濃縮させない事。 これは「鉄則」です。 「水中のリン・窒素濃度」を低下させる方法で最も簡単なのは、単純に水処理剤を「無リン・無窒素」に変更します。栄養成分の供給を止め、殺菌剤で少しずつ除去して行きます。配管系内からの除去が終われば、殺菌剤の濃度設定も落とせます。 |
まずは、ご使用の水処理剤に「リン・窒素化合物」が使われているかどうか? を確認してみましょう。 | |||
供給業者からSDSを入手していますか? SDSに記載されている項目がほとんど「非開示」の場合、質問して下さい。 | |||
Q.1 「有機リン(ゆうきリン)は入っていますか?」 | |||
Q.2 「窒素化合物(ちっそかごうぶつ)は入っていますか?」 | |||
Q.3 大気に噴霧されるのに成分が「非開示となっているのは、何故ですか?」 | |||
Q.4 企業として入っていない(問題となる化学構造になっていない)と言う「証明書」を発行・提出できますか? (成分非開示の為) | |||
Q.5 この冷却水を下水道に排水した際「下水道法」に準拠していますか?(企業コンプライアンス) | |||
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「有機リン・窒素化合物」の総排出量も「増加傾向」にあり、カルファケミカルが本社を置く「横浜市」の行政も、これまでより厳しく「規制」する流れになって来ており、環境省・東京都も最新の研究結果を踏まえ順次、新基準を適用しています。 | ||||||||||
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大手コンビナートプラントの付近では、環境NPO団体等が、河川・海域排水附近から定期的に採水。 第三者試験機関に分析を依頼、それをメディア等の媒体を通じ世間に公表して行く動きをとっております。 これは、「社会正義」・「環境保全」ための活動と言えるでしょう。 |
水処理薬剤メーカーが 「リンがこれまでの1/3に!」 と強くPRする「有機リン系水処理剤」をこれまでの4倍〜5倍の添加量で、大量に環境中に飛散、噴霧され、そしてバレないように下水道に排水。さぁ、何が変わったのか? 変わったのは「ビール券の配布枚数」と「水処理剤の売り上げ」だけかもしれません。 最近では、ようやく行政機関が重い腰を上げ、排出者を特定できるいくつかのポイントに絞り 「下水道法に準拠する水質」かどうかを定期的に採水・データ化しております。 計測する成分は業種、個所、河川、下水によってそれぞれ違いますが、 やはり主たる成分は「有機リン・窒素化合物」です。 |
冷却塔に注がれる「補給水」や、設置されている「場所」「風向き」によっても「リン」や「窒素化合物 (アンモニア等)」「COD成分」が混入されてきます。それは、冷却塔が設置されている「ロケーション」「方向」が関与しているパターンも多いです。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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【洗浄殺菌剤効果を維持するための水処理】(厚生労働省より) 冷却水中のレジオネラ属菌の洗浄殺菌処理を効果的に持続させるために、水処理対策が必要である。殺菌剤の効果を持続させるための水処理対策としては、冷却水の濃縮管理とスケール、スライム、腐食等の防止策が必要となる。 冷却水濃縮管理(冷却水をブローする) スケール防止のため冷却水を過度に濃縮させないようにする。水中に腐食性イオンが多い場合、過剰な濃縮は腐食の原因ともなる。一般に濃縮の限度は塩化物イオンもしくは電気伝導率を目安とするが、薬剤処理に際しては、処理条件に合った水質基準値(濃縮度)を採用する。 |
(財団法人 省エネルギーセンター 改定2版「クーリングタワー」著:高田秋一・川原孝七)より |
高濃縮による補給水量の減少の程度は、「濃縮倍率5倍程度」までが著しく、それ以上は濃縮を上げても顕著は減少はない。一方、高濃縮倍数での運転は循環水の水質悪化を招き種々の障害を生じやすくするばかりでなく、添加した水処理剤の効果の持続性にも限度があるため、適度な濃縮倍数を選定する必要がある。 |
詳しくはこちらから |
例えば、補給水の電気伝導度が200μS/cmだったとした場合、1,000μS/cmまでしか節水効果がほとんどない。と言う事です。 |
節水効果は限界に来てるのに、「薬剤コスト」と「リスク」だけは上昇します。そして、水分だけ蒸発させて「超高濃縮」。やがてリン酸カルシウム・スライム・バイオフィルムが生成され、危険な混合薬品水と一緒に、レジオネラ菌が冷却塔から飛散・噴霧されます。 これは「効率」「経費」「設備」「健康」「環境」全てにとって「最悪の悪循環」のケースです。 |
冷却水は現実的な「濃縮倍率」で稼働するのが、メリット・デメリットの面で最もバランスが良いと言う事です。絶対に「上げすぎ」(高濃縮させすぎ)てはいけません。 高濃縮させすぎは、「デメリット」ばかりです。 |
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しかし、慌てる必要はありません。この様な状況が発生する事が予想できる場合は、殺菌剤の濃度設定を少し高めにする等で解決できます。不足した分を補う目的と、病原菌を循環水中で確実に殺菌しなければならないからです。 |
繰り返しますが、大切なのは、このミルフィーユ状の「スライム」→「混合スケール層」を作らせない、「日頃のメンテナンス(管理)」意識の高さです。 |
業種、施設によってそのレベルは違いますが、日常管理として計測器で何らかの水質の管理をされているかと思います。定期的に水質分析に出されるべきなのですが、施設によってはあまり関心がない方もいます。最低でも計測したいのが @ 電気伝導度 A 遊離塩素 この2つです。 | ||||||||||||||||
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